RSウイルスワクチン アブリスボについて
妊婦さんがお腹の赤ちゃんのためにできること「最初のプレゼント」
アブリスボは、RSウイルス感染症を予防するワクチンです。
妊婦さんに接種することでお母さんの体内で抗体(細菌やウイルスを排除するための免疫機能の一つ)が作られ、その抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。赤ちゃんは生後数ヵ月の間、免疫が十分ではありませんが、アブリスボはその期間も含めて RSウイルスから赤ちゃんを守る効果が期待されます1)。
言うなれば赤ちゃんのためにできる「最初のプレゼント」です。
1)アブリスボ電子添文
2)堤裕幸: ウイルス 55 (1) :77, 2005
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって起きる呼吸器の感染症で、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで引き起こします2)。
約70%の乳幼児では「普通の風邪」のように経過しますが3)、30%の乳幼児では細気管支炎や肺炎などの下気道感染を引き起こして重症化することがあります2)。特に、生まれてから6ヵ月以内の赤ちゃんの免疫は未成熟であり、RS ウイルスに感染すると重症化することがあるため注意が必要です3)。

お母さんから赤ちゃんへ:母子免疫とは
赤ちゃんは、生後数ヵ月の間は免疫機能が未熟であることが知られています4)。一方で、赤ちゃんが感染症にかかりにくいのは、胎盤やへその緒を通じてお母さんから抗体の一部を受け取って生まれてくるためです5)。このことを「母子免疫」といい、生後数ヵ月の間、赤ちゃんを感染から守る役割を担っています6,7)。

4)西山幸廣: 実験医学 26(18):2884, 2005
5)Faucette A et al.: Hum C Vaccin Immunother 11(11) :2549, 2015
6)国立感染症研究所: 病原微生物検出情報 35(6),2014
7)Cinicola B et al.: Front Pediatr 9:1, 2021 より改変
出典 : ファイザー株式会社
妊婦さんに接種するRSウイルスワクチン「アブリスボ」
生後数ヵ月の赤ちゃんの免疫機能は発達していないため、ワクチンを直接接種しても病原体に対する抗体が作られにくいとされています6,8)。
現在、RSウイルスワクチンで赤ちゃんに直接接種するタイプのものはありません(2025年2月時点)。そこで、母子免疫の仕組みを利用し、赤ちゃんのRSウイルス感染症を防ごうというワクチンが考え出されました。
アブリスボは、妊娠中のお母さんに接種するRSウイルスワクチンであり、赤ちゃんのRSウイルス感染症に対する予防効果が期待されます。
6)国立感染症研究所: 病原微生物検出情報 35(6),2014
8)山本初実 他: 国立医療学会誌 57(7):456, 2003
接種対象者 | 妊娠24週から36週の妊婦さん(望ましい接種数週は28週から36週の間) ※接種後14日以内に出産した場合、移行抗体が十分出ない可能性があり、有効性は確立していません。 |
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接種方法 | 0.5mLのワクチンを筋肉内に接種します。 |
費用 | 33,000円(税込) ※接種回数は1回です。 ※接種希望の1週間前までには、お電話でご予約をお願いします。 |
現在、赤ちゃんに直接接種するタイプのRSウイルスワクチンはなく、日本小児科学会や日本産科婦人科学会も、赤ちゃんのRSウイルス感染症の重症化予防としてアブリスボに期待を寄せています。