下痢について
下痢は便を構成している水分量が増加することで起きます。
要因は様々ですが、医薬品やサプリメントによって引き起こされるケースもあります。
下痢症状がある場合は、下記のような疾患の可能性もあるため早めに受診し検査を受けるようにしてください。
下痢の主な原因
ウイルスや細菌・寄生虫感染症
ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染症などが原因で下痢症状が引き起こされます。
よく耳にするのが牡蛎などの二枚貝の生食が原因で発生するノロウイルスによる下痢です。細菌感染は一般的に夏場に多いといわれています。
薬の副作用
抗がん剤、抗菌薬、免疫抑制薬など様々な薬剤が原因となり下痢が引き起こされることがあります。
腸管での水分吸収量の減少
腸管内での便の滞在時間が短く、十分な量の水分が吸収されないことで起こる場合もあります。
この原因は、炎症性腸疾患、甲状腺機能亢進症、カフェイン過剰摂取、ストレスなど、多岐にわたります。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病などを指します。大腸粘膜が炎症を起こし、出血した血液や炎症した組織から漏れ出た慘出液が便に含まれることで水溶性の下痢が引き起こされます。これらの病気の診断には大腸カメラ検査が必須です。
下痢型過敏性腸症候群
過敏性腸症候群をIBSと言います。IBSの診断には国際的な基準が用いられます。
IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、下記の2項目以上の特徴を示す
- 排便によって症状がやわらぐ
- 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
- 症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
お腹の痛みや不快感を繰り返したり、下痢症状が続く病気です。大腸に腫瘍や炎症がないことが前提ですので、まずは大腸カメラ検査で精密検査を行う必要があります。
下痢の検査
血液検査や便検査を行い、感染が原因かどうかを検査します。抗菌薬を服用した方は、便検査で正確な判断ができない可能性があります。
下痢症状が長期間持続している場合やその他の症状(血液の混入、腹痛、発熱等)がみられる場合は、大腸がんや炎症性腸疾患の有無を調べるため、大腸カメラ検査(下部内視鏡検査)を行います。
下痢の治療
原因や疾患に応じ、適切な治療を行います。
- ウイルスや細菌などが原因と考えられる場合は原則下痢止め薬は使用しません。病原体の排出が遅延し、体内に残ってしまうことを避けるためです。内服薬(抗菌薬や漢方薬)などで治療を行います。
- 内服中の薬剤が原因と考えられる場合は可能な限り原因薬剤を中止します。下痢止め薬を用いて治療を行うこともあります。
- 下痢症状が強く脱水が疑われる場合には点滴を行うこともあります。