大腸がん検診と便潜血検査について
便潜血検査とは
便潜血検査は市区町村が大腸がん検診として行っている検査です。
また人間ドックの項目に入っていることもありますので、受けたことがある方も多いかと思います。
便潜血検査とは便を採取しその中に血液成分が混じっていないか調べる検査で、目で見て血液が確認できるかどうかではありません。
当クリニックは『西宮市大腸がん検診』の委託医療機関です。
- 西宮市にお住まいの40歳以上の方は、1年度に1回受けることができます。
- 詳細については下記西宮市ホームページをご確認ください。
検査の実際
便を専用のスティックで2日に分けて採取する「2日法」が主流で、この便潜血2日法は、厚生労働省から死亡率減少に効果的であると認められた大腸がんの検査方法です。 便潜血反応は、受けた人の5%前後が陽性となり、さらに陽性になった人の2-3%にがんが発見されると言われています。(集団検診による大腸癌の発見率は0.1%程度) 陽性になる確率は進行した大腸がんで60~90%、早期の大腸がんで30~60%、腺腫などのポリープで20~30%程度と言われています。
メリット・デメリット
便を採取するだけなので体に負担は全くありません。安く気軽に受けられます。一方で上記のように、陰性であってもがんがないとは言い切れない(偽陰性)ということを理解しておく必要があります。またがん以外からの出血でも陽性になるので、陽性=大腸がんではないということも理解しておく必要があります。
1回でも陽性なら大腸内視鏡(大腸カメラ)
「2日のうち1日しか陽性じゃないから検査は不要ですか?」「もう一回便潜血検査をするのは駄目ですか?」よくある質問です。答えはNoです。1回でも陽性ならアウトです。大腸がんやポリープは毎日出血しているとは限りませんし、進行した大腸がんで60~90%、早期の大腸がんで30~60%、腺腫などのポリープで20~30%程度しか陽性にならない、すなわち陰性でも大腸がんがないという保証はないということを理解していただき、大腸カメラを受けることをお勧めします。
精密検査は大腸内視鏡(大腸カメラ)
「便潜血検査で陽性反応が出てしまったら、精密検査として大腸内視鏡検査を受けましょう。
大腸内視鏡検査は決して負担の少ない検査とはいえませんが、検査をうけなければ大腸がんがあるかどうかはわかりません。大腸がんは早期に発見すれば治癒が十分に期待できるがんです。お腹を切る外科手術のイメージが強いと思いますが、より早期に発見できれば内視鏡手術(大腸カメラを使った手術)でお腹を切らずに治療することができるケースもあります。
便潜血検査で陽性となってしまった方は必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
大腸がんは男女ともに罹患数・死亡数の順位が高いがんです
「大腸がんは男女ともに罹患数・死亡数の順位が高く、40歳以上になると発症リスクが増加します。「最新がん統計」によると、2018年の女性のがん死亡数は大腸がんが1位という結果が出ています(男性3位、男女計2位)。
現代では食生活の欧米化などにより、若い人でも大腸がんに罹患するケースもあります。過度の飲酒や動物性脂肪の多い食事がその要因と言われています。大腸がんのリスクが高くなる40歳以上の方、そして家族に大腸がんにかかられた方がいる場合は、ぜひ一度大腸内視鏡検査を受けられることをおすすめします。