ピロリ菌は胃にすみつく細菌です
ピロリ菌について
正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌で1983年にオーストラリアのウォレンとマーシャルによって発見されました。ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍などの原因になっていることがわかり、ウォレンとマーシャルは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。
- どのような疾患を引き起こすのですか?
- ピロリ菌に感染するとヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を引き起こします。ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は消化性潰瘍、胃MALTリンパ腫、機能性ディスペプシア(FD)、胃ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を引き起こし、萎縮性胃炎を経て一部は胃がんを引き起こすことが知られています。
ピロリ菌感染による疾患
Asaka M. et al.: int. j. Canser 132(6), 1272(2013)(一部改変)
- ピロリ菌はどのくらいの人が感染しているのですか?
- 日本人のピロリ菌感染者はおよそ6000万人と言われています。50歳以上の人で感染している割合が高いとされています。しかし衛生環境が整ったことによりピロリ菌に感染している割合は減少しており、今後はますますピロリ菌に感染している人は減っていくと予想されます。
ピロリ菌の検査
ピロリ菌は胃にすみつく細菌なので、感染しているかどうかを調べるには胃の中に内視鏡を入れて検査する必要があります。
内視鏡を用いない検査としては血液検査(血清ピロリ菌IgG抗体)が最も一般的となっています。しかし判定が難しくアメリカのガイドラインでも血清ピロリ菌IgG抗体は使用されなくなりました。その他、呼気検査(尿素呼気検査)、便検査(便中抗原)、尿検査(尿中抗体)が内視鏡を使わずに行える検査です。
問題点は、どの検査でも精度が100%ではないということです。なので2つ以上の検査を組み合わせてピロリ菌感染の有無をチェックすることもあります。
保険適用でピロリ菌の検査、除菌が行えるのは、以下の疾患の患者さんです。
- 胃・十二指腸潰瘍
- 胃MALTリンパ腫
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃
- ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
*ピロリ菌感染のチェックを受けられる場合には一度胃カメラで胃がんの有無などをチェックする必要があります(保険でも定められています)。
胃カメラ検査(上部内視鏡検査)について
- ピロリ菌の除菌後の胃はもう大丈夫?
- 幼少期から除菌するまでピロリ菌が住み続けた胃なので、残念ながら胃がんになる可能性はあります。ですので除菌後も胃カメラで定期的なチェックが勧められるのです。
ピロリ菌は薬の服用で除菌できますので、胃の調子が悪い方や検診で胃炎といわれた方は、ぜひ早めにピロリ菌検査を受けてください。
*ピロリ菌感染のチェックを受けられる場合には一度胃カメラで胃がんの有無などをチェックする必要があります(保険でも定められています)。
胃カメラ検査(上部内視鏡検査)について